最終更新日:2023年8月15日 公開日:2023年7月2日
台所事情と打ち合わせ
横浜市役所内の3、4階の廊下はうす暗く、仕事へのモチベーションにも影響するようなことをある職員さんはお話ししていました。
確かにはじめて見たときは、ハツラツとして仕事を!!・・という雰囲気ではないのも、うなずけました。
こちらの3、4階の廊下と天井は20年ほど塗装していません。
民間の会社なら、汚れているなら塗装しなければという発想になって、塗り替えるということになるとは思うのですが、横浜市役所の場合は発想があってもむずかしいとのことでした。
それは横浜市ではかなりの財政難という理由からです。
通常は塗装業者にお願いすることになるので当然ながら費用がかかります。
そしてその費用は税金です。
行政側からみれば、自分たちの職場をきれいにするために、税金を使って塗装するなんてことは、市民に対して申し訳ないということもあるのだと思います。
増してやほかに使うべき必要があるところもたくさんあるでしょうから、市民からの語弊も生まれかねない可能性も無きにしもあらずだと思います。
独立行政法人などの税金の無駄な使い道や天下りの批判というニュースを耳にする中で、税金がつかえない分、自分たちの力量で何とかするという発想は素晴らしいことではないでしょうか。
財源不足をどうにかしようとする意識
実は横浜市ではもともとこれに似たような事業が以前からありました。
中田横浜市長時代に発案された、広告協賛事業というものです。 民間会社の広告などを、行政の管轄する場所に掲示してスポンサー料を財源にあてるという広告事業です。
私たちも過去様々な形で地元区役所や横浜市の広告協賛に参加させていただきました。
記憶では横浜市が全国ではじめて導入したということですが、財源不足を自分たちの力でどうにかしようという意識は、他の地域より根付いているのだと思います。
今回私たちが指導に協力させていただいたのは、恥ずかしながら会社のイメージアップ的なこともありますが、活動の素晴らしさに加えて、広告事業のようにほかの自冶体までにも飛び火すれば面白いと思ったからです。
人件費の削減
塗装工事にかける費用の大部分は人件費です。
発想はあっても中々できることではないかもしれませんが、たとえ予算が下りないとしても、材料と道具のわずかな予算、そして技術があれば、工事費用のほとんどを占める人件費は自分たちで賄えることができることを証明したということでもあります。
技術といっても本気を出して覚えさえすれば、それほど難しいものだとは思いません。実際に少し教えただけの試し塗りの時の担当者さんの刷毛さばき、ホントにはじめて?というものでした。
確かにこの横浜市役所での塗装は大規模なものですが、小さいビルの廊下塗装ぐらいであれば、必ず素人さんでもできると思います。要はやる気ですね。
とにかく職員さんの中には休みもあまりなく、夜も10時近くまで残業する日が少なくないということですから、 それを休日返上してまで、しかも予算がない状態でここまでこぎつけるという発想と実行力がものすごいと思いました。
本番塗装前の打ち合わせ
打ち合わせは、試し塗りまでに何度か実施し、その後の本番までに複数回実施しました。指導と補助を担う立場として、責任があります。
そして21日の本番当日、一級技能士を4人を含めた職人全員と担当職員さんがはじめて顔合わせし、最終の打ち合わせです。事前に職員さんの最終人数を聞かされてはいたのですが、想定よりもずっと少ない人数でした。正直なところ焦りました…認識を再度改め、職人全員がフル活動で本腰を入れて仕事をするべく気合を入れ直しました。
材料と道具の段取りです。この辺は外壁塗装のいつもの現場と変わりないので、職人は手際よく準備を進めました。塗料缶を開けたりローラーや下げ缶を用意しています。